株式に投資をすると、基本的に配当金が支払われますが、配当利回りが高いことと増配することが混在している人が結構いるように思います。
そこで今回はその違いの説明や、投資するにあたって配当金に対してどうのような見方をしていけばいいのか、お話ししたいと思います。
目次
配当利回りと配当金は決めている人が違う
配当利回りは、株価に対して一株当たりの配当金(年間)が何%支払われているかというものです。
配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価額×100
同じ1ドルでも、100ドルに対して1ドルだと配当利回りは1%になるし、50ドルに対して1ドルだと配当利回りは2%になります。
要するに配当利回りが高くなるというのは単純に株価の問題です。
一方で、増配というのは、配当金が昨年1ドルだったものが今年1.1ドルに増えることです。
「配当金が高い」ことを良いことだと思っている人は多いと思いますが、必ずしもそうは思いません。
なぜなら今は配当が高くても減配する可能性があるからです。
1ドルの配当を今出していたとして、次1ドルの支払いが難しいとなった時に、株価は減配を織り込みます。
通常去年1ドルだった配当は、今年も来年も1ドル支払われるだろうという前提で投資家は投資をします。
でも、投資家心理としてこの1ドルが維持できないんじゃないかと思うと株価は下がりますよね。
つまり、配当額は会社が決めていて、配当利回りは投資家が決めているのです。
だから、増配や減配に配当利回りは関係してきません。
株価が上がると結果的に配当利回りは下がります。
64年連続増配中というP&Gは、配当を上げ続けていても、基本的に配当利回りは同じぐらいで推移しています。
この辺りのバランスは投資家がとっています。
高配当利回りよりも増配が大事な理由
高配当利回りかどうかよりも増配というのはとても大事だと思っています。
理由はインフレです。
インフレを考えたときに、P&G やJ&Jのようないわゆる消費財メーカーは、インフレになると、ものの値段が上がります。
そしてインフレ分だけ増配をするんです。
増配銘柄は、無理して増配しているわけではなく、インフレに沿って自然と配当を増やしているだけです。
そして、増配が続くことで配当額は上がり、その結果株価上昇にも繋がります。
だから無駄が起こりにくいんです。
配当を積極的に出すことで、インフレに耐久力がある企業になるということです。
増配というよりかきちんと配当を出していく企業という感じです。
そこを確実に取れる銘柄って投資家からすると貴重な存在ですよね。
増配って無理をしているわけでもなく、企業が大規模になっているわけでもなく、ただ単純にインフレに対して正しい答えを出してきたものです。
P&Gのように毎年増配をしてきたというのは、かつて何十年にわたって、きちんとインフレに適応してきたことの証明だと思います。
「増やしている」わけではなくて「インフレに合わせている」のが増配です。
増配で皆さんが勘違いしているのはそこなのかなと思います。
配当利回りという指標は、過去の配当実績に基づいて計算されるものです。
投資家がそれぐらいの利回りが心地いいというところで、インフレと共に推移していきます。
だから高配当利回りと増配は性質が根本的に違うのです。
長期安定増配銘柄がとても良いのは、毎年増配してくれて、株価も上がり続けるので、根元の部分を押さえておけばずっと取り続けることができます。
私のポートフォリオの中にも、長期安定増配銘柄を組み入れているのは、そういった理由があります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
高配当利回りと増配の違いについて、上手く伝えることができていれば幸いです。
増配に関しては、業績が良くなって配当を増やしている場合も中にはありますが、本質的にはインフレに対応するものだと私は考えています。
少しでもご参考にしていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。